ハーレムの娘たち

窓の外で鳥のさえずりが聞こえた。
メシナはごわごわする毛皮の敷物の上で目を覚ました。
目が覚めると同時に、胸の上でゆるゆると動くやわらかい双球の重みに気
付かされた。
「ん……邪魔だなあ」
体を傾けた方向にこぼれ落ちそうになるその肉のかたまりを手ですくいあ
げた。
ふにっと極上のやわらかな触り心地がした。同時に胸にも甘い痺れが走っ
た。
「ああん……邪魔だけど、気持ちいいぃ……」
汚れた毛布一枚の下でメシナはたまらず、ひとしきり胸のふくらみを両手
でこねて、手と胸の両方に伝わる快楽を楽しんだ。
こんな極上の女体が目の前にあると思うだけで、以前のメシナだったらあっ
というまに無節操なペニスを固く立ち上がらせていたところだ。
しかし長年のくせで股間の一物を掴もうと伸ばした手は、ふっくらとした
平べったい股間の丘陵を撫でただけだった。そこは少し濡れていた。股間
をまさぐると、ふしぎなぬめる感触の割れ目がある。そこにほんの少し指
の先端を挿れるだけで、自然とメシナの足がぴんと伸びた。
「うはぁっ」
自分の中に何かが入ってくる、不思議な感触。不思議な快感。男だったと
きには想像もしなかった感覚だ。
男だったときは嫌がる女を押さえつけ、女の入り口へ躊躇なく剛直を突き
立ててきたメシナだった。その征服感とペニスの感じる単純明快な快楽だ
けがメシナにとっての男女の交わりのすべてだった。
それが、いまは百八十度立場が変わっている。
柔肉がしっかりと蜜に濡れてほぐされた後ならともかく、前準備もなくそ
こへぶっといモノを突っ込まれるなど考えたくもなかった。
そろそろと割れ目をなぞっていくと、その端のところで小さな真珠粒のよ
うにぷっくらとふくらんでいる部分があった。そこに指が触れた途端、強
い電撃のような快美感が体を貫いた。ペニスを擦るより何倍も感じてしま
う。ペニスの感覚のすべてがその小さくぽつんとふくらんだ突起に凝縮さ
れてるようだ。
震える指先で本当にそっと、そっと撫でているだけなのに、目の前が真っ
白になるほど気持ちよく、体全体が痺れた。
気持ちよくなればなるほど、割れ目の奥からじくじくと液がしみだしてく
る。
真珠粒を愛でる指の動きが自然と少しずつ激しくなっていった。
やがて快感が頂点に達すると、自然といやらしい女の声が出てしまった。
「あん、ああ、あん、はぁぁ……イクぅ……」
白い光が頭の中で広がり、絶頂が訪れた。
昇りつめた山の頂上から、すとーんと体が沈んで宙に浮くような気がした。
ぴくん、ぴくんとひとりでに腰がひくついた。
「はぁ……はぁ……はぁ……女って、やっぱ、気持ちいいな……」
男のときと違って、快感の波は何度も寄せては返し、ゆっくりと引いてい
く。
呼吸が収まってくるころには、全身にうっすらと汗をかいていた。
眠気もどこかへ飛んでいた。
メシナは毛布を横へなげとばし、敷物の上で身を起こした。
立ち上がって自分の体を見下ろすと、つくづく変わり果てた己の肉体を意
識させられる。
肩幅の狭い華奢な骨格に、胸のうえではずむ雪玉のように丸くて白いふく
らみ。
身をよじってみれば、細い腰の下で美味そうな果実のようにふっくらと丸
い尻が突き出ている。
十日前に、突然与えられた姿だった。
村外れに住む頭のいかれた発明家が、村中の男を女に変えてしまう装置を
完成させたのだ。それが魔法の力を借りた物なのか、古代帝国の遺産を利
用したものなのか。そんなことはメシナにはどうでもいいこだ。
男がその装置を動かしたときを境に、盗賊だったメシナは仲間の男たちと
もども、若い娘の姿になってしまった。村中がそうだ。褐色の肌で胸が西
瓜ほどもある娘の姿になってしまった教会の神父は気が触れてしまって、
けたたましく笑いながら森の奥へふらふらと姿を消してしまった。いまご
ろは熊に喰われたか、隣村の野盗に捕まって娼婦宿に売り飛ばされたか、
どちらかだろう。
発明家の男はモズという名前だった。この村に唯一残った男がモズだった。
メシナたちの村は、村全体が発明家の男のための巨大なハーレムとなった
のだ。
メシナは一度伸びをした。体の動きに合わせて乳房がぷるぷると揺れて、
その感触がイッたあとの体には妙に心地よく感じられた。
同じ部屋で、盗賊仲間だったフィオレがまだ寝息を立てていた。
メシナは寝ているフィオレの毛布をはぎとった。
「ううん……」
亜麻色の髪の娘になっているフィオレの、艶めかしい裸身があらわれた。
毛布をはがされてもフィオレはまだ完全に目が覚めない様子だ。敷物の上
で身をよじるフィオレの悩ましい姿態に、メシナは舌なめずりした。
男の頃のメシナだったら、目の前の娘の中身がフィオレであろうと構わず
覆い被さって、一物を突っ込んでいたところだ。だがいまのメシナには肝
心の一物がない。そのかわり、淫心に反応して、メシナの乳首がきりりと
固くなっていった。固く尖ったそれを指でつまむと、ぞくぞくするほど気
持ちよかった。
「アアン……フフ、女の乳首ってやつはすげえな。チ●ポが二つ、ついて
るみてえな快感だ」
こりこりと乳首を弄っていると、ペニスがない喪失感はどこへやら飛んで
いき、女の快楽が体を支配していった。
「たまんね……」
メシナは、まだ寝息を立てているフィオレの上に重なっていった。
フィオレの乳房に自分のを押しつけた。
柔らかいふくらみとふくらみが押しつけられて、ひしゃげた。そのやわら
かな感触の心地よさは男の体では絶対に味わえないものだった。自在に形
をかえるやわらかで弾力のある塊。フィオレの乳房とメシナの乳房が混ざ
り合ってしまったようだった。
「ううん……女のオッパイ……?」
フィオレが寝言のようにつぶやいた。まだ寝ぼけているようだ。
ひょい。
「あン!」
メシナの胸が下から持ち上げられた。フィオレが寝ぼけたまま、手を伸ば
してきたのだ。
そのまま、もにゅもにゅと胸を揉まれると、たまらなくなってメシナは声
をあげた。
「はぁぁっ、だめ、そんなに揉まれたらぁ、あん、あん」
自分自身の淫らな嬌声に酔い、メシナは何度もあんあんと喘いだ。
ぱちりとフィオレが目を開けた。
「あ……女?」
「フフ……兄貴だって女じゃないですか」
メシナはまだ寝ぼけているフィオレの口を吸った。
盗賊だったとき、フィオレは兄貴分だった。だが、女になった今では、ど
ちらかというとフィオレのほうが幼さを感じる容姿になっている。
「あ、こら、テメ、犯すぞ!」
「犯す? ●ンポもないのに、どうやってオレを犯すの?」
「え、あっ……」
寝起きのフィオレはようやく、自分のいまの体がどうなっているかを思い
出したようだった。
「まさかフィオレ兄貴がこんな美味そうな処女になるとは思いませんでし
たよ」
「やぁぁ……て、てめぇだって女になっただろうが!」
「兄貴は特別に感じやすい体になったみたいですよ」
メシナはもう一度胸のふくらみを重ねて、体を揺らした。
やわらかい肉が溶け合うように絡まりあった。
「あ、あっ、あっ、やめ、こんな……」
「ウフフ。兄貴の顔、すげぇイヤラシイ……」
たまらずメシナはもう一度桜貝のような唇を吸った。
感じやすい体はフィオレだけではない。
モズの装置のせいで女にされた者は一様に、感じやすい体にされていた。
フィオレが快感のあまり抵抗も忘れているのと同じくらい、メシナもたま
らなく感じている。
メシナはさらに体を密着させていった。
やわらかく滑らかな肌が触れ合うだけで、くすぐったさと同時に極上の絹
に触れたような心地よさが伝わってくる。
フィオレの股間にメシナは脚を割り込ませた。
胸だけでなく、股間同士が触れ合った。
メシナもフィオレも股間には荒々しい剛直は消えていて、かわりに可憐な
女の花びらが備わっていた。そこが、キスでもするように優しく触れ合っ
た。
「ふぁぁぁっ!」
「あはぁ……」
二人ともそこは熱を帯び、湧き出した蜜によって湿っていた。
メシナが腰をそうっと動かすと、二つの花弁が絡まり、擦れ合った。
「あ、やめぇぇ……」
「くふぅぅ……」
あまりの強い刺激に一瞬、腰の動きが止まってしまう。
しかしその堪らない快感をもとめ、またもぞもぞと互いの女体が蠢いた。
くちゅくちゅくちゅ……
二人の股間に何か別な生物が潜んで蜜を啜ってるのではと思うほど、卑猥
な水音が響いた。
気持ちよくなって相手の体を抱きしめるほど乳房がぶつかり合い、押しつ
けられ、ますます官能の炎が掻き立てられた。下半身と上半身と、それぞ
れに信じられないほどの快感が生まれた。
「兄……フィオレ……」
「あふ……オレ、おかしくなっちゃうよぉぉ」
「はぁ、はぁ……おかしく……なっちゃいなよ、フィオレ……」
ぬるぬると二つの女体が溶け合い、混ざるような感覚。混ざり合い、互い
の中に互いの存在が入りこんでくる。それは男では夢見ることすらかなわ
ない最上の官能だった。
尖りきった乳首がぶつかり、秘裂と真珠粒が相手のそれに食い込む。その
たびに二人の女は発情した、甘い声で悶える。
やがてどちらともなく昇りつめた。
「あっ……あっ……だめ、いくぅぅぅぅ……」
「きもち……よすぎるぅぅ…………」
二人は抱き合ってひとつになったまま、腰をわななかせた。
女体の歓喜は長く尾を引いた。心地よい一体感から名残惜しそうにメシナ
は体を離した。
「ごちそうさん」
「こ……この淫乱女!」
いましがたの行為を振り返る余裕が出来たのか、フィオレは顔を真っ赤に
してなじった。
「淫乱女はお互い様でしょ」
「あんっ!」
メシナの指でまだぷっくり突き出たままの乳首をつままれ、フィオレは身
をよじった。
二人は揃って皮で水浴びをして汗を流すと、薄物をはおってモズの館へ向
かった。
二人とももう盗賊稼業を続けることはできない。
モズに囲われるハーレムの女なのだ。──村人全員がそうであるように。
「向こうについたら、さっきの続きしましょうや。今度は道具も使って」
「メシナ……おまえ、ほんと楽しそうだな」
「そりゃ館はいつもよりどりみどりの可愛い奴隷女たちであふれてるんだ
から。オレにとっちゃ天国ですよ」
「自分がその奴隷娘の一人でもか?」
「えへへ。この体のほうが気持ちいいんだもの。それに……」
「きゃっ!?」
メシナの手はするりとフィオレの秘所にもぐりこんだ。
メシナの指はくちゅくちゅとそこを掻き回した。
「あぅぅぅ……」
「知ってるんだから。フィオレがオレ以上に女のセックスの虜だってこと!」
かぁぁぁと頬を染めるフィオレにメシナはキスをして、ついでに薄衣の上
から乳房を揉んだ。
「こ──この淫乱女!」
「だから、フィオレもね!」

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